仮説80:各話分析(20)
『恐怖のアトランティス大陸』について

前回、宇宙へ飛び出す能力を得た白鯨。火星のように荒れ果てた地球を目にして決意を新たにする剣たちでしたが、それをアトランティスはいち早くキャッチしていました。
ザルゴンはそれを迎撃すべくプラトスに出撃を命じますが、前回の「地球移住大改造計画」という暴挙に怒りを覚えていたプラトスは、思わずザルゴンに意見します。
「父上、我々アトランティスの目的は、地球人を無差別に殺戮することではなかったはずです。地球上から醜い争いをなくすため、我々アトランティスの支配が必要だったはず。いたずらに地球を破壊して、何になりましょう」
そんなプラトスの言葉に、当然ながらザルゴンは耳を傾けることはありませんでした。
「ワシに説教する気か! 愚か者めが、顔も見とうないわ!」
プラトスが初めて見せた明確な反抗でしたが、周囲に他の人間がいなかったことが幸いしたのか、この時はプラトス自身にそれ以上の事は起きませんでした。

代わって白鯨の迎撃を命じられたのは科学長官のハイドです。
ハイドはまず、ラウンドクロス包囲網を展開、そのまま突っ込んできた白鯨を捕獲。白鯨は前進も後退もできず、新たに備わった熱球ビーム砲で包囲網を爆破して突破を図るも、その爆発に巻き込まれて逆にダメージを負ってしまいます。更には白鯨を包囲網に捕らえたまま月に激突させて葬ろうとするハイド。
まるでアリ地獄のような絶対絶命のピンチです。
そもそも、罠にあっさりと引っかかってしまう剣があまりに不用意なんですが(汗)、学の助けを借りて包囲網の隙を突いて突破。
続いてハイドはアトランティス軍最高の戦闘力を誇るという第一師団を率いて出撃。力押し系の印象が強いアトランティス軍にあって、頭脳的な戦術を見せます。
セオリー通り、先鋒として戦闘機隊を放つも、歯が立たないとみるやあっさりと後退させるハイド。
そして、白鯨の透視図を分析して装甲の薄い部分を見つけ、旗艦のビーム砲で集中砲火。
対する白鯨も、熱球ビーム5発の一斉発射で敵旗艦に大ダメージを与えます。
更にたたみかけようとする剣たちを、今度は旗艦の瞬間移動能力を駆使して翻弄。
それを学によって敵の出現位置をピンポイント予測して打開。
出現位置で待ち構えて、艦体同士が接触するほどの至近距離からの激しいビーム砲撃戦の末、遂に敵旗艦を撃破します。
思えば、戦闘シーンすらどこかゆったりとしたイメージのあった「ムーの白鯨」の中で、これだけ戦闘シーンの密度が濃い回は、14話の南極戦以来です。
やはり、これまでのような前衛部隊との戦いでなく、アトランティス大陸の本隊との戦いゆえに、その戦力は半端ではなかったということでしょう。
サブタイトルは「恐怖のアトランティス大陸」となっていますが、作中では最後に火星付近の宇宙空間で視認するだけで実際には大陸に到達していません。ここはアトランティス軍本隊との最初の本格戦闘という意味合いと解釈すべきでしょう。
ちなみに、仮題の段階では『平和への旅立ち』とあり、これはむしろ前回の宇宙船型に変身した白鯨が出撃してゆくシーンの印象です(汗)。

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