仮説77:各話分析(17)
『ラ・メールの正体』について

前回、国連が無条件降伏した後もアトランティスとの戦いを続けることを誓った剣たち。それに対してアトランティス側は何度も攻撃隊を差し向けたらしく、冒頭でいきなり第7次特別攻撃隊が白鯨の前に全滅させられます。
業を煮やしたコンドラはハイドに命じてオリハルコンパワーシステムで白鯨をイースター島ごとこの世から消してしまおうとします。これに異を唱えたのがプラトスです。
「敵とはいえ、ラ・ムーは我々にとって3万年を遡る宿敵。正々堂々と倒してこそ、帝王ザルゴンもお喜びになるはず」
と、相変わらずお坊ちゃん全開の意見を主張します。
ハイドも思わず「甘い」と苦言を漏らすほどですが、皇子の主張ともなれば無碍にもできません。
コンドラはプラトスに最後の機会と、出撃を許します。そのプラトスにラ・メールも同行するのでした。

その頃、イースター島の海岸では束の間の平安に、マドーラが「ムーの時代の古い楽器」と称する竪琴を奏でていました。
お世辞にも上手とは言えないものでした(汗)というか、そもそも音を鳴らしているだけで曲になっていなかったのですが、こういう場面では挿入歌を入れるべきでしょう(断言)。
それはともかくとして、そこで唐突にラ・メールの接近を「私が来る……!」と察知したマドーラ。
マドーラは心を取り戻したことで既に予知能力を失っていますから、これは双子ならではの精神感応といったところでしょうか。
さて、ラ・ムーへの降伏勧告にラ・メールを伴ってイースター島へ向かうプラトス。それを出迎えるムーバルからラ・メールを見る剣は「マドーラにそっくり」と呟きますが……そう言うのは剣だけで他のメンバーが同様の意見を示すことは最後までありませんでした。実際はどう思っていたのか、気になるところです。

ラ・ムーと二人だけで会見に臨むプラトス。しかし既に剣たちと共に戦う意思を一つにしていたラ・ムーの心が動くことはありませんでした。
そこへプラトスの身を案じて飛びこんで来るラ・メール。プラトスが呼びかけた「ラ・メール」という呼び名に、普段は冷静なラ・ムーの顔色が変わります。
そして剣たちにラ・ムーが語る真実。
3万年前、和平条約の人質としてアトランティスに取られたラ・メール。再び始まった戦いの中、涙を飲んで諦めたはずの娘が、敵として生きていた皮肉。
一方、交渉の決裂を受けてコンドラはオリハルコンパワーシステムを稼働させます。オリハルコンパワービームの着弾まであと3分です。
しかしプラトスがグズグズしている間に、敵からラ・メールを救い出そうと、熱血主人公のノリで出撃した剣たちが白鯨に搭乗して出現します。
「時間はあとどのくらい残っている?」というプラトスに対するラ・メールの答えは、
「およそ1分です」
この「1分」というのは安全圏に退避する時間と考えられますが、戦闘をするのに充分な時間とは思えません。にも拘わらず、プラトスは戦闘を強行します。この辺り、白鯨との決着に拘るあまり、プラトスは冷静さを欠いていたとしか思えません。
とはいえ、時間がないことは理解しており、プラトスは一気に勝負を着けるべく白鯨に突撃します。
しかし案の定、気付いたときにはタイムオーバー。
「もう時間が……! 10秒以内に半径50km外に脱出しなければ、私たちも……!!」
果たして半径50km外に脱出するのにどれくらいの時間が必要だったのか定かではありませんが、残り1分の段階で離脱しても果たして間に合ったかどうか……?
もっとも、離脱すれば、結果として白鯨をビームの破壊圏外へ誘導してしまうことを恐れたのかも知れません。
その後は、前回の変身で白鯨に新たに浮き上がったムーの紋章と虹の帯が輝いてビームを跳ね返し、事なきを得るという、いささかご都合主義の展開となります(汗)。
ラ・メールを守ろうとした白鯨の行動でプラトスも命を救われるという結果になりましたが、今回がコンドラの言葉通り、プラトスにとって最後の機会、結果的にではありますがこれ以降、彼が白鯨との戦闘に直接参加することはありませんでした。

なお、この17話の仮題は『ラ・メールの告白』となっており、ラ・メール自らがラ・ムーの娘であることを告げるストーリーを予感させます。
あくまで予想ですが、当初は本人が人質である事実を知らないのは不自然という思いがスタッフにあったのかも知れません。

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