仮説71:各話分析(11)
『魔のバミューダ海域』について

第11話は『魔のバミューダ海域』。仮題では『謎のバミューダ海域』。どっちも同じだろと思わず突っ込んでしまいますが……。
さて、この回の最大のポイントは、ラ・メールが初めてムー側(といっても剣だけですが)の前に姿を見せる点です。
しかしそれ以外にも、科学長官ハイドが初登場したのが実はこの11話だったりします。物語後半で結構重要な役どころを担うハイドだけに、登場が意外に遅いという感じです。
他に、24話で登場するハメルもこの11話でさりげなく登場していたりします。スタッフがどれくらい計算して登場させたのかは分かりませんが……。

それはともかく、ハイドのオリハルコン・マイナスパワー仮説に基づきバミューダ海域を捜索することになったプラトス。その任務の危険性からプラトスの身を案じたラ・メールが、いきなりのキスを装ってプラトスに薬を盛り、彼に代わって出撃する展開は、当時としてはいささか衝撃的な大人向きの演出でした。
このときラ・メールが率いたのは「第13次特別捜索隊」。これまでオリハルコン探索の舞台となったのは3話の富士山、8話のマチュピチュ、9話の地中海・クレタ島一帯(実際に探索を行なったのかどうかは置いときます)の3箇所だけなので、話数の都合で端折っているだけで実際は世界各地の遺跡を舞台に戦いが展開されていたものと推測されます。
もっとも、一度に複数箇所に捜索隊を派遣していて、戦闘が起きたのはその内の一部であったということも考えられますが。

さて、アトランティス側の企みを阻止しようと出撃した剣たち。様子を見ようとする仲間たちを置いて一人敵に突撃する、相変わらず猪突猛進の剣と、それを迎え撃つラ・メールとの間で戦闘が発生します。
その戦闘の最中、バミューダの異空間に取り込まれてしまう剣とラ・メール。
初めてラ・メールと顔を会わせる剣は『マドーラとそっくり……』などと言い、いささかベタな伏線を張っています。
しかし、髪の色が違う上にラ・メールがきつい表情をしているので、お世辞にもそっくりとは言い難いところです。
それでも、二人の顔を重ね合わせて示されると、目鼻の位置は同じなことから何となく納得してしまうのは、私だけ……?
その剣とラ・メールのやりとりに水を差させないためか、プラトス専用機の副操縦士が異空間突入のショック(?)で死亡していたのは、いささか唐突です。死んでいたのではなく気を失っていただけかも知れませんが、いずれにせよご都合主義的であることに変わりはありません。
そこへ登場する異空間の怪物、「エイの化け物」という表現にいささか萎えますが、ムーバルの熱球ビームを受け切る辺り、ただ巨大なだけの生物というわけではないようです。
その剣の危機を救うべく異空間への突入を決意する、残された仲間たち。
生物としての生存本能で進もうとしない白鯨も、剣を救おうとするマドーラの真心に感応して異空間へ突入、見事剣の危機を救って通常空間へと復帰を果たします。

ところで、バミューダの謎の正体は3万年前にアトランティスが行なった超兵器の実験の影響によるものでしたが、それはあくまでアトランティス側の探索結果についてのコンドル要塞内でのやり取りであって、ムー側が知るよしもないことでした。
異空間突入前に信が「バミューダの謎が解けるかも知れない」と発言していましたが、彼らにとって結局謎は解けないまま終わったわけで、いささか消化不良なことだったでしょう。
その後の展開を考えても、アトランティス側が探索結果を部外者に公表したとは思えないので、恐らくバミューダの謎は人類にとって永遠に謎のまま終わることになったはずです。

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