仮説55:ハイドについて

アトランティス帝国科学長官・ハイド。
立ち位置的には、アトランティス帝国地球派遣軍の参謀長といった役どころですが、初登場は意外に遅く前半戦の終盤近く、11話になってからのことでした。
何となくアルセーヌ・ルパンを連想させる片眼鏡を着けたキャラデザインの通り、力押し系が多いアトランティス側人物の中で、数少ない頭脳派キャラです。
初登場からして、オリハルコン探索編において古代文明跡の捜索で成果が上がらない中、オリハルコンマイナスパワー仮説を提唱しての理論的なアプローチでした。
加えて、16話で彼が中心となって開発したオリハルコンパワービームが国連の無条件降伏を決定づけたと言え、ストーリーの中で重要な役目も担っています。
20話では宇宙に飛び出した白鯨をラウンドクロス包囲網に捕えて効果的に追い詰めるあたり、理論派ならではの攻めを見せてくれました。もっとも、最後の最後に白鯨を取り逃がす詰めの甘さもありましたが。
続く第一師団を自ら率いての戦闘でも、緒戦で白鯨に歯が立たない戦闘機隊をあっさりと後退させ、白鯨の透視図から装甲の薄い部分を見つけて集中攻撃するなど、他のアトランティス軍人には考えられない指揮ぶりを見せてくれます。
更に旗艦のテレポート能力を駆使しての攻撃など、戦力を120%引き出しての戦い方は見事です。
それでも最終的に勝利を手にできなかったのは、剣たちの団結の力が勝っていたということでしょうが……。

彼が科学長官という地位まで登りつめるまでどのような人生を歩んできたのかは想像するしかありませんが、ゴルゴスの死後、次期帝王候補筆頭となったプラトスに対して「甘い」などと苦言を漏らすなど、皇族に絶対の忠誠を誓っていたわけではなかったようです。
恐らく彼にとって科学は出世の道具にすぎず、またアトランティス皇族も絶対的に尊敬すべき対象というわけではなく、単に自分の能力に見合った報酬を与えてくれるがゆえに仕える対象にすぎなかったのでしょう。
自分にとって充分なメリットがあれば敵に寝返るのも厭わない、とまでは言い過ぎでしょうが……。
しかし、ザルゴン統治下のアトランティス帝国は、成果を上げさえすれば満足のいく対価を得られる社会であったろうと想像されますので、ハイドにとってある意味理想的な仕官先だったとも言えます。

勇猛果敢な軍事国家、そして高度な科学技術を誇ったアトランティス帝国。ハイドは帝国の二つの特性の内、後者を代表する人物だったと言えましょう。

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