仮説48:白鳥麗について

白鳥麗(シラトリ・レイ)、14歳。ムー戦士、レイナの生まれ変わり。
麗は、類型的には5人の戦士の中の紅一点というべき存在です。
スレンダーな肢体と肩下まで伸ばしたセミロングの茶髪。戦士として戦闘にも果敢に参加し、凛々しい姿も見せてくれます。
かと言って特に男勝りというわけでもなく、どちらかと言えばおとなしめの性格です。
難を言えば、キャラ設定が類型的に過ぎて、いささか個性に乏しいことでしょうか。
もっとも、メインヒロインの役どころではないため、ストーリーの本筋にあまり絡ませられないのは仕方のない面もあります。
とは言え、一般的な美少女キャラとしての要素は一通り備えており、万人受けする設定ではあります。
しかし、いかんせんマドーラという超絶美少女が傍に居たことが、麗に損をさせていることは確かです。
「運命に翻弄されるメインヒロイン」のマドーラに対して、「その傍に居る普通の女の子」的な立ち位置である麗は、背景キャラとは言わないまでも、あまり前面に出せないキャラでした。
他の作品なら立派にメインヒロインを張れる正統派美少女だけに、惜しまれるところでしょう。

さて、麗の能力はその身に宿った予知能力でした。
ただ、特に物語初期はマドーラの予知能力には及ばなかったようで、敵の接近を察知するのは麗ではなくマドーラの役目でした。
麗が作中で初めてその能力を見せたのは、5話でラ・ムーに白鯨の操縦を命じられる際に、そのことを予め予感していたというもので、直接戦いに結びつくものではありませんでした。しかも、その直後に敵の接近を感知したのはマドーラで、麗は気付かなかったのか、そのことについて何も言及してはいませんでした。
しかし、マドーラが心を取り戻した結果、予知能力を失ってからは、その穴を麗が埋めることになります。
とは言え、別項で予知能力について考察した通りかなりあいまいな能力で、その能力に頼り切るわけにはいかなかったようでした。
6話でマドーラに予知能力の衰えが見られた際は、麗が敵を感知しましたが、それとて「予感がする」といった程度であまり具体的なものではありませんでした。それから少し時間が経った段階では「もう間違いないわ」と発言していましたが。
その後、7話や8話、9話では敵の来襲を察知しましたが、13話では最初に気付きはしたもののかなり接近されてからと、その能力は安定しないようでした。

10話で譲のエピソードが出てきた際に麗のエピソードに絡めて予知能力についても簡単に触れられており、彼女は「野生の勘を持つ少女」と呼ばれた天才テニスプレーヤーでした。
彼女によると、「試合中、緊張すればするほど不思議に勘は冴え、相手の動きが見えた」とのことでした。
このことが、麗の予知能力が自身でコントロールし切れないものであることを物語っています。あるいは、麗の予知能力はまだ発展途上にあったのかも知れません。
「そう分かったとき、私はテニスを辞めた」と、麗自身は語っていましたが、想像するに自分の真の実力とは別のところで大きく差がついてしまうという事実に、麗がテニスに対する情熱を冷めさせてしまったのでしょう。
それはともかく、このエピソードは譲と並んでムー戦士となる以前の個別エピソードが期待できそうでしたが、残念ながら限られた話数の中ではストーリー上の余裕がなかったためか、それ以上触れられることはありませんでした。
戦いの中で再会した、麗にどうあがいても太刀打ちできなかったかつての対戦相手から、テニスを辞めたことを責められる、というようなお話などいくらでも思いつきそうですが……つくづく見せ場に恵まれなかったキャラでした。

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