仮説45:「鯨の墓場」について

「ムーの白鯨」19話で白鯨が最終形態に変身した、「鯨の墓場」。今回はこれについて考察してみましょう。

剣たちの前から姿を消して消息不明になった白鯨。必死の捜索にも関わらず、手掛かりも掴めず焦る剣たちにラ・ムーの声が届きます。
「『鯨の墓場』へ来るのだ」と。
似た言葉(と言うか、オリジナル)に「象の墓場」というのがありますが、こちらは密猟者などによる創作と言われています。
一方、「鯨の墓場」は、マドーラによると「昔、父に聞いたことがあります」とのことで、ムーにおいて一部の階層の人々限定かも知れませんが、知られた場所ではあったようです。
そこは鯨が人知れず死んでゆく海の墓場。しかしラ・ムーによると、そこは白鯨の「ふるさと」でもあるとのことです。
19話冒頭、アトランティスの隕石雨攻撃にダメージを受けた白鯨が夜、深海へと向かいながらラ・ムーが操縦カプセルにいるミューに語った、
「傷ついた白鯨は、その本能に導かれ、安らぎを求めている」
との言葉から、そこは鯨の死と再生の聖地であると想像できます。
マドーラの案内でたどり着いた「鯨の墓場」。そこは深海にあることが分かるだけで、明確な場所は示されていません。
ここで剣たちは、幾多の鯨たちの骨がうず高く積った中に斃れた白鯨を発見するのですが、その際、思わずムーバルのフードを開けて外に飛び出すも、普通に呼吸していました。
ムー白でこのような伝奇的な設定は唯一のもので少々戸惑いますが、どうやらこの場所は単なる海底ではなく異空間の一種であったようです。

白鯨がダメージの大きさから生命の危機に陥ったのは確かでしょう。自身の死を悟った白鯨はその本能に導かれて鯨が本来死すべき場所へ向かったと考えることができます。
ただ、単純にそれだけでなかったことは、白鯨が最終形態へ変身を遂げた際のラ・ムーの言葉から想像されます。
ラ・ムーいわく、
「白鯨は蘇る。皆の勇気が、生き物を愛する優しさが、平和を願うひたむきな心が、一度はこの世に生まれた生きとし生ける者の魂を呼び起こし、お前たちに力を与え、その力が白鯨を今生き返らせたのだ」
この頃、剣たちは宇宙への移動手段を持っておらず、アトランティスの宇宙からの攻撃に手も足も出せない状態でした。
また、この頃からアトランティスは地球に対してオリハルコンパワーを用いた大規模攻撃を加えるようになっていました。
このままアトランティスの暴挙に手をこまねいていては、地球そのものが破壊されかねない状況と言えました。
そのことは別の見方をすれば、この世に生を受けて死を迎えた全ての魂が、再び新たな命を持って生まれるための未来がなくなることを意味します。
そんな地球の未来を護るために、「鯨の墓場」に漂う魂たちが剣たちに力を与えたと考えることができます。
また、アトランティスに対抗するため宇宙へ飛び出すには、白鯨のこれまでの部分的な変身では対応しきれなかったのでしょう。
そのため、鯨にとって死と再生の聖地である「鯨の墓場」へ赴き、一度死を迎えた上で多くの魂の力を借りて根本的な変身を遂げる必要があったのかも知れません。

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