仮説44:イースター島について

「ムーの白鯨」の主要舞台となったイースター島。モアイの島として、あまりにも有名な世界遺産です。
この島を知らない人というのはあまりいないと思いますが、有名過ぎるがゆえの誤解もかなりあるようで、それはムー白を観ていても感じられるところです。
最近はインターネットなどで情報が溢れていますが、ムー白が放送された1980年当時は行き方すらあまりよく知られていなかったのではないでしょうか?
そういった視聴者に対して制作された以上、一般のイメージに沿って描かれてしまうのもやむを得ないことでしょう。

例を挙げれば、イースター島は「小さい島」と思われている点です。
確かに広大な太平洋の只中にポツンと浮かぶ小さな島ですが、だからと言ってそれほど小さい島というわけではありません。
何しろ、伊豆大島より少し大きい島。仮に日本にあったなら、比較的「大きな島」の部類になります。
そのため、イースター島を歩いて廻ろうとするとかなりの健脚が要求されますが、ムー白の中では1話後半で剣たちはラノ・ララク辺りから、本来ならハーフマラソン以上はあるはずの距離を走って(!)タハイのアフまでたどり着いていたりします。
また、イースター島の最高峰は海抜500mほどですが、画面上では実際のイースター島の面積から考えれば、どう考えても数千m級の大山脈が聳えていたりもします。

他にも、実際のイースター島にはあり得ない海底神殿の入り口であるドルメンのような構造物が、恐らくラノ・ララク辺りに建てられています。
ま、重箱の隅をつつくような些細な事は置いておくとしても、ちょっと見過ごせないのはイースター島には数千人の住民が住んでいるはずなのに、作中には一人も出てこない点です。
想像するに、冒頭の異常現象がイースター島も襲い、住民は避難した後だったというのが設定としては妥当でしょう。
6話のマドーラの台詞で、学がヤギからチーズを作ったとの話がありましたが、これは住民が残して行ったものと考えることができます。イースター島の産業としては観光業や農業・漁業と合わせて牧畜がありますので、無理のない設定と言えます。
しかしそうすると問題になるのが、マドーラに連れて来られた剣を除く4人はどうやってイースター島に来たのか、ということです。
イースター島へはチリのサンチアゴとタヒチのパペーテを結ぶラン・チリ航空を使うのが一般的です。
譲は「貨物船にこっそり乗り込んでやって来た」と言っていましたが、他の3人は飛行機で来たと考えるべきでしょう。
いずれにしても、島への何らかの交通手段が確保できた以上、島の住民はまだ避難しておらず、異常現象が起きたのはその後ということになります。
だとするとなぜ、彼ら4人は一緒に避難しなかったのでしょうか?
住民が一人残らず避難するような危険が発生したとすれば、避難勧告は観光客に対してもなされたはずです。
このことを説明できるとしたら唯一つ、いささかオールマイティな設定ではありますが、そこにラ・ムーの意思が働いていたという可能性です。
このラ・ムーの意思が働いたという可能性は、彼らがイースター島にたどり着けたというそもそもの基本設定に関わってくるものです。
譲はブラジルに居住していたはずですのでまだ良いとして、それ以外のメンバーは日本に居た可能性が高いです。
そんな彼らが不思議な夢を見たというだけの理由で、遠路はるばるイースター島まで行けるだけの経済力を有していたというのは、彼らにラ・ムーが予め用意していたと考えることもできます。
そして深層意識にラ・ムーの意思を受けた彼らは、通常なら勧告に従って避難するような状況にも関わらず、何かに惹きつけられるように島に残ってしまった……。

もっとも、これはテレビ版の話で、小説版では白鯨とマドーラの夢を見て導かれるように海岸へ出、気が付くとイースター島に居たという設定になっていました。これなら上記の謎は謎でなくなります。

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