仮説40:オーロラビームについて

7話の変身によって白鯨に新たに備わった武器・オーロラビーム。オーロラ状の光の帯を放つことで物体を凍結させることのできる兵器です。
もっとも、その名称が出てきたのは22話においてであり、それまでは特に呼び名がありませんでした。

とにかく、この武器の登場により白鯨の戦法は一変することになりました。
それまでの白鯨は、飛行能力とバリア展開能力を組み合わせての体当たり攻撃で敵を撃破していました。
確かに白鯨のバリアは強力で、アトランティス戦闘機群のビーム攻撃を寄せ付けず、小型戦闘機程度なら触れただけで爆発四散していました。
しかしこの戦法は、敵がバリア圏内に入って来なければ使えないという致命的な欠点がありました。
何しろ、全長200mもの巨体を持つ白鯨です。戦闘機に対抗できるほどの運動性など望むべくもありません。
変身前の白鯨がアトランティス戦闘機部隊と交戦したのは1話と5話の2回だけでしたが、まともな司令官なら白鯨に接近しての攻撃は避けるように厳命したはずです。
バリア圏外に距離を取り、ヒット・アンド・アウェイに徹して攻撃すれば、やられることはまずありません。
6話で白鯨がコンドル要塞に敗れたときは剣を欠く状態でしたが、白鯨の性能を分析した上で出撃してきたコンドル要塞に対し、例え万全の状態だったとしても白鯨が勝利できたかは疑わしいです。
仮にこの敗北がなかったとしてもいずれ弱点を突かれ、敗れることはないまでも、アトランティス戦闘機群に対して有効な攻撃ができなくなっていたと思われます。
7話で再登場したときも白鯨はスフィンクス要塞の遠距離からの攻撃に、プラトスの指摘通り「手も足も出ない」状態でした。
そんな状況からの変身です。白鯨はこれまでの近接戦闘一本槍からロングレンジの攻撃手段を得て、スフィンクス要塞を一撃で葬り去りました。
その後も19話で最終形態に変身するまで、オーロラビームは白鯨の主力兵装となって多くのアトランティス戦闘機群を撃破することになります。
最終形態に変身してからは、熱球ビーム砲が備わったこともあってオーロラビームは使われなくなり、唯一使われたのは22話のアトランティス大陸帰還阻止作戦においてでした。

それではオーロラビームの原理について考察してみましょう。ま、古代ムーの超技術の産物の原理が分かるわけはありませんが…。
ただ、想像すると単に温度を急激に奪って凍結させるといったものではないように思えます。
これは小説版からですが、オーロラビームを受けたスフィンクス要塞のエネルギーがゼロになって活動を停止したというような描写があります。
恐らく、対象物のエネルギーを奪う、もしくは失わせるというのがオーロラビームの特性ではないかと考えられます。
内燃機関であれば、反応エネルギーを奪って動力を停止させる。通常の物体であれば、熱エネルギーを奪って温度を低下させる――すなわち物体を凍結させることになります。
アトランティス戦闘機群に対して使った場合の描写もいくつかのパターンがありました。
・飛行中の戦闘機が一瞬にして凍りつき、あるいは動力が停止した状態で墜落してゆく。
・凍結した後、部品のいくつかが分解した状態で落下してゆく――部品をつなぎ止めていた何らかの力が失われたと思われる。
・空中で戦闘機群が凍りついた後、次々と爆発してゆく――動力がいきなり停止したことで機体内部で何らかの不具合が起き、物理的な破損が起きたものと思われる。
また、22話でアトランティス大陸の地球帰還を阻止しようとして逆噴射ロケットを攻撃した際にもオーロラビームを使って作動を停めていましたが、これもエネルギーを奪うことで噴射を止めたと考えられます。そのため、自らオリハルコンパワーを浴びたコンドラによりエネルギーを注入されれば、復活してしまったと解釈できます。

そのオーロラビームの使用において、戦術上の失敗と思われる戦いが二つあります。
一つは14話の南極決戦。
コンドル要塞に対して、白鯨はあえてバリアに身を包んでの接近戦を仕掛けました。なぜ剣たちはオーロラビームを使わなかったのでしょうか?
スフィンクス要塞のようにオーロラビームの一撃で仕留めてしまえば、オリハルコンを奪われることもなかったのにと思えてきます。
ただ、相手はスフィンクス要塞と違って白鯨の数倍の巨体を持つコンドル要塞です。
想像ですが、オーロラビームで敵のエネルギーを奪うには、自分と同程度の大きさが限度なのかも知れません。
また、スフィンクス要塞と対峙したときは変身直後のエネルギーがみなぎっている状態だったのか、ビームの形もオーロラ状ではなく白色の太い帯状でした。
もしかすると自分と同等、あるいはそれ以上の体積を持つ標的に対しては、かなりエネルギーを集中しなければ充分な効果が得られないのかも知れません。
あるいは、オーロラビームよりバリアに身を包んでの体当たり攻撃の方が、物理的な打撃力は大きいと判断したとも考えられます。
もう一つは22話の大気圏決戦です。
アトランティス大陸の地球帰還を阻止するために、剣たちは逆噴射ロケットをオーロラビームで攻撃しました。
しかし、エネルギーを奪って稼働停止にしたのみであったため、コンドラにオリハルコンパワーを与えられると噴射を再開しました。
ここでオーロラビームでなく、熱球ビームで逆噴射ロケットを破壊してしまえば、いかにオリハルコンパワーといえども短時間での復活は不可能だったでしょう。
ただ、これも熱球ビームよりオーロラビームの方が広範囲に対して有効ということを示しているのかも知れません。
密集している目標ならともかく、広範囲に散在している目標は熱球ビームは1発で一つしか攻撃できません。
一方、オーロラビームは幅の広い形状ですので、広範囲を薙ぐように放つことも可能です。
画面上ではそのような使い方はしていませんでしたが、一つの発射口から4方向に一度に放っている場面はありました。
オーロラビームを選択したのはこの特性を考慮したものと思われます。

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