仮説39:熱球ビームについて

ムー側の主力兵器・熱球ビーム。皿状に展開したビーム砲座から球状のビーム弾を放つ兵器。
アトランティス側のビームが線状の、ある意味オーソドックスな、悪く言えば何の変哲もないものであるのに対し、熱球ビームは非常に独特です。
その最大の特徴は、やはりビームを塊で発射するという点でしょう。エネルギー量が同じであれば、線状に長く伸ばして放った内の一部が当たるより、ひと塊りにして放ったものが当たる方が、破壊力は高くなるはずです。
もっとも、線状のビームでも全て目標に命中すれば、破壊力は同じになるはずですが。
逆に、いかに破壊力があろうと、当たらなければ何にもなりません。
命中率という点に着目すれば、熱球ビームは格段に不利となります。標的の移動量が少ない地上戦ならともかく、お互いに高速移動を行なう空中戦では、目標に命中させるのは極めて困難と言わざるを得ません。
ただし、別項で操縦球について考察した際、操縦者の脳に直結して思った目標に着実に照準できるシステムを備えているとも考えられることから、更に命中精度を補う何らかの機構が備わっているのかも知れません。
あくまで想像ですが、ビームに意思を乗せて放ち、ある程度のホーミング能力を持たせているというような可能性も否定はできません。
もっとも、画面を観る限りではビームは常に直線的に飛んでいますので、仮にこの考えが正しいとしてもあくまで命中率を補助する程度の微調整的なものでしょう。

いずれにせよ、旋回性に優れたムーバルにとっては敵の背後を取って攻撃する巴戦が真骨頂と思われます。
必然的に標的に接近しての攻撃が主体となり、射撃時間が比較的長く取れることから、強力な一撃で確実に敵を屠ることのできる武装が適していることになります。
こう考えると、熱球ビームはムーバルの機体特性に合致した武装と言うことができます。
逆にアトランティス戦闘機の場合は、ムーバルと比べると運動性に劣ることから編隊を組んで高速で突っ込んでの一撃離脱が主体となります。こちらはむしろ、短い射撃チャンスに確実に敵を捉えることのできる命中率に重きを置いた武装を用意すべきです。線状ビームはまさしくこの特性を備えた装備と言えます。
もっとも、剣たちはともかくとして、3万年前の世界での戦闘シーンの描写を観る限り、ムー側はあまりこの特性を生かしておらず、バタバタと撃ち落とされていました。
例えどのような武装を備えていても、結局使うのは人ですから、戦闘能力はあくまで搭乗者の素養に左右されるのでしょう。
特に、4話の回想シーンは、ジョナスら主力と思われる戦士を3万年後の未来に飛ばしたために欠き、ケインを除けば恐らく2級の戦士ばかりと思われる状況での戦いでしたから、仕方ないのかも知れません。

さて、熱球ビームはムーバルの他に白鯨の最終形態にも備わっていました。
外見上、同じに見える両者の熱球ビームですが、その威力には格段の差がありました。
ムーバルの熱球ビームはアトランティス小型戦闘機程度なら一発で撃破する威力がありましたが、重戦闘機に対しては9話で一度対戦しただけですが、数発のビームを当てる必要がありました。
そして10話で交戦した爆撃機は、ムーバルの熱球ビームでは歯が立ちませんでした。
対して白鯨の熱球ビームは、重戦闘機はおろか、爆撃機すら一発で数機まとめて粉砕していました。
加えて20話で登場した、白鯨が熱球ビームを一斉発射するという攻撃法の威力は、第一師団の旗艦を攻撃、一撃で撃沈というわけにはいかなかったものの、その衝撃で周囲の戦闘隊が全滅してしまうという凄まじいものでした。
ここで疑問に思うのは、真空のはずの宇宙空間でなぜ衝撃が伝わるのか、ということです。
恐らく、国連軍のミサイル攻撃を全く受け付けなかったアトランティス戦闘機は物理攻撃を無効化する何らかの機構を備えていると思われ、それを破るには現代の兵器とは全く違う、全く別の攻撃手段が必要と考えられます。
例えば、ビームの着弾により物理的な爆発に加えて空間そのものを振動させる強力な重力波のようなものが発生している、という想定も可能です。そうであれば、真空の宇宙空間で衝撃が空間を振動させて伝わり、周囲にいた戦闘隊を破壊したと考えられます。
なお、アトランティス戦闘機の大群を相手にした際、一発の熱球ビームで多数の敵を一度に撃破していた姿から察するに、ビームの破壊範囲をある程度調節できるのかも知れません。

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