仮説38:ムーバルについて

古代ムーの戦闘飛行艇・ムーバル。関連する別項でも少し触れましたが、今回はこれについて考察してみましょう。

さて、ムーバルは剣たちムー戦士の個人戦闘メカです。
設定資料のアトランティス小型戦闘機との比例図では、全長が2/3ほどになっているので8mといったところでしょう。
最大の特徴はおよそスピード感とは無縁のその形状でしょう。大まかにはボート形の船体後部に半球ドームのコクピットが載っている形です。
設定資料ではその船体部の形状についてナスを縦に切った形とあり、「古代ムーでは秋ナス号と呼ばれていた」との但し書きがあります(汗)。
ま、冗談は置いといて…普通に考えればあの形状では空気抵抗が大きすぎて、あまり速度は出せそうにありません。
しかし、作中ではアトランティス戦闘機群と互角に渡り合うだけの性能を発揮していました。具体的な性能データは出てきませんが、音速の数倍は出せると想像されます。
また、防御も優れており、国連軍機を赤子の手をひねるように撃墜していたアトランティス小型戦闘機のビーム攻撃を、数発程度なら耐えるだけの強度を備えていました。
見た目はまるで木でできているかのようなムーバルですが、設定資料によると機体は硬質樹脂の一種とあります。
とはいえ、それだけではあの性能を説明するには不充分です。
これは想像ですが、ムーバルは機体の周囲を紡錘状のシールドで包んでいたのではないでしょうか?
シールドによって空気抵抗をなくしていたと仮定すれば、あの形状で超音速飛行ができることも頷けます。
また、そのシールドにより機体の防御力も著しく向上していたと考えられます。

さて、様々な機体を有するアトランティス軍とは対照的に、ムー側はムーバルのみで戦っていました。
もっとも、3万年前のシーンではアトランティス側も小型戦闘機しか登場していないのですから、ムーにも画面に出ないだけで、別の機体が存在していた可能性も皆無ではありません。
ただ、軍事的な要素の少ないムーですから、ここは単一機種で戦っていたと考えるのが妥当でしょう。
実際、ムーバルは汎用的な機体で、およそ戦術的に必要な能力は全て備わっていると言って過言ではないでしょう。
速度はアトランティス戦闘機と遜色なく、運動性ではむしろ凌駕しています。
機体が小さいことも相まって、14話ではコンドル要塞内部に侵入しての戦闘さえこなしています。一方のアトランティス戦闘機は、大きすぎて中では戦えない状態でした。
武装は熱球ビーム砲1門のみですが、アトランティス戦闘機群に対するには充分な破壊力を持っています。
爆撃機やコンドル要塞のような巨大移動要塞を相手にするにはいささか火力が心もとない感じではありますが、大群で出撃すればそれなりに対抗できたのかも知れません。
また、イースター島から日本やエジプトまで無補給で飛行しており、現代の航空機と比較すればほどんど無限に近い航続力を持っていると言えそうです。もっとも、ラ・グリルの力をエネルギー源にしているのですから当然でしょうが…。
上昇力については具体的なデータがありませんが、宇宙に飛び出すことはできなかったことがネックと言えなくもありません。ただ、戦闘域が地球上に限定される限りは、それほど重大なマイナスポイントにはならないと思われます。
制空・迎撃・地上攻撃もソツなくこなし、長距離偵察にも申し分ない能力がありそうです。
加えて、対潜能力もありそうです。
水中での戦闘シーンはありませんでしたが、7話では水中に潜るシーンがあり、譲によると少なくとも500mまでは潜れるようです。続く学の台詞からは海流が複雑な場所だったのでそれ以上潜れなかったという状況が示唆され、条件さえ整えばさらに深く潜ることも可能だったと推察されます。
アトランティス側の水中戦力がどれほどのものかは想像の域を出ませんが、少なくともムーバルは水中戦闘をこなすことも可能だったと考えられます。
こうして考えてみると、ムー側としてはむしろ、ムーバル以外の機体を開発する必要性が低そうです。
アトランティスを攻撃する意図がそもそもムー側にはなかったことから、アトランティスの攻撃から国土を護るだけの機能があればそれで充分だったのでしょう。
敵の防御を突破して戦略目標を破壊するような強力な火力を備えた機体の開発は、ムーには想定し難いです。
また、単一機種のみを用意するということは、生産性が上がって大量の機体を配備できるとも言えます。
もっとも、現代でこそたった5機でアトランティス戦闘機群と互角以上に戦っていたムーバルでしたが、3万年前の世界では数こそ多いものの明らかに劣勢でした。
恐らく、運動性や防御力などの性能は、搭乗者の能力に大きく左右されるものと考えられ、5人の前世であるケインたちを除けば、アトランティスに対抗できる戦士は少なかったのかも知れません。

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