仮説36:ラ・メール専用機について

18話と21話でラ・メールが搭乗した小型戦闘機。正式名称が分からないのでラ・メール専用機としましたが、実際問題として、いかに皇子プラトスに近しい位置にいたとは言え、皇族でもないラ・メールにわざわざ専用機を与えることは考え難いです。
18話で海に沈んだ後、21話にも登場していること、またラ・メールが親衛隊隊員であることを考え合わせると、親衛隊の機体と考えるのが自然です。
また、18話と21話に登場した両機を比較すると、基本的な機体の外観は良く似ていますが、前者は機首部分がやや細長いのに対し、後者は機首部分が少し太く見えて若干違う印象を受けます。
もしかすると、同じ系統の機体ではあっても、形式にいくつかのバリエーションがあるのかも知れません。

さて、機体サイズは一般兵士の小型戦闘機と同程度、噴射ノズルも同じ二基ですので、基本的な性能に大差はないと思われます。
ただし、小型戦闘機と比べると大きめの主翼を持っていることから、運動性では上回っており、速度では下回っているのではないかと推測されます。
これは、機体に対する翼の面積が広いほど揚力が大きくなって旋回性を高めやすくなり、その一方、機体を持ち上げるに足る揚力を生み出す以上の翼面積は、抵抗となって速度を上げるのを妨げる効果をもたらすためです。
また、コクピットは他のアトランティス戦闘機と比べると、大きく上に突出した形状に設計されており、視界はかなり良好と思われます。
高度に発達したアトランティスの技術力ならコクピットの形状に関わらず視界は確保されているかも知れませんが、攻撃にしろ防御(回避)にしろ、直接視認できるというのは戦闘において有利です。
しかし、問題は武装が単装ビーム一門のみと、極めて貧弱なことです。
他の戦闘機に見られた側面ビームもありません。もっとも、例えあったとしても側面ビームは実用性が低いので、戦力として計算するには無理がありますが。
戦闘にはあまり向かないと思われることから、恐らくは連絡機か偵察機といった機体と想像されますが、連絡機とするには単座の小型機ですから人や荷物の運搬には向きませんし、速度が際立って速いわけでもなさそうなので、偵察機に適しているというわけでもないようです。
この機体がどのようなコンセプトに基づいて設計されたのかは定かではありませんが、いかにも中途半端な機体という印象です。
他に登場しないことを考えても、生産機数はあまり多くないことが見て取れますので、アトランティスでも失敗作との評価を与えられていたのではないでしょうか。

それを裏付けるように、実際の登場場面はいずれもラ・メールを囮に白鯨をおびき出して罠に嵌めるための、言わば捨て駒的な使い方のみです。
18話でラ・メールが率いたのは、白鯨を相手にするにはあまりにも少ない、小型戦闘機わずか十数機の小部隊でしたし、21話に至っては初めから囮であることを明言した単機作戦でした。
性能の詳細が不明ですが、不幸な機体であったと言えるでしょう。

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