仮説31:プラトス専用機について

プラトス専用に造られたと推察される大型戦闘機。
画面上で確認できるサイズは小型戦闘機と比較して全長で倍くらいあるので、30mほどと思われます。
また、機体後部に大きく広がった主翼は小型戦闘機を横に2機並べたくらいあり、全体で小型戦闘機の3倍ほどの大きさがあるようです。
もっとも、5話で白鯨と接近したときの画面上のサイズでは全長200mという設定の白鯨と比較すると数十分の一程度の大きさに描かれていたので、これからすると10m程度しかないことになります。
まあ、これはむしろ白鯨のスケールに問題があったと思われますので、ここではあえて突っ込まないことにしましょう。

次に機体の特徴を見てみましょう。
エンジンの噴射ノズルは2個ずつまとまった形で3基備わっており、内2基は機体後方から下方まで90度の角度変更が可能で、小型戦闘機とは違って垂直離着陸の機構が納得できる構造をしています。
その巨体と相まって、運動性はムーバルには及ばなかったようで、14話で剣たちのコンドル要塞内部への侵入を許した際も、「中では戦えない」とのことでした。
一方、速度や上昇力ではムーバルを凌いでいたと思われ、剣との空中戦でも少し距離を取った後、方向転換して一気に距離を詰めて攻撃するというのが典型的なパターンでした。
武装は外見上、コクピットの両側面に小型戦闘機と同様の構造物があり、(恐らく)上下旋回が可能なビーム砲が二門と側面ビーム砲が二門備えられているようです。
それとは別に、操縦席後上方にも二門のビーム砲が設置されていました。
このビーム砲、コクピット内にあり、発射の際はキャノピーを通して放たれていました。機体に損傷が起きないことを考えると、このキャノピーは単なるガラスではなく、ビームを素通りさせる特殊な素材が使われているか、それに類する加工がなされているようです。
不思議なのは、上述のコクピット両側面に設置されたビーム砲が同時には使われなかったことです。
作中の描写を見る限りでは両者の威力は大差ないように思えます。となれば、両方を同時に発射した方が破壊力は倍加するはずです。
設定資料によると、コクピット内のビームは「プラトス専用ビーム」となっており、コクピット両側面のビームは「攻撃用ビーム」となっていて、どうやら両者の操作は別系統になっているようです。
思うにプラトス専用機はプラトス本人と副官の二人乗りですので、ビーム砲は夫々が別々に操作していたのではないでしょうか?
両者を連動させなかったことは同機の設計上のミスとも言えるものです。
ただ、機体のコンセプトを考えると、それが致命的な欠陥とも言えません。

機体のコンセプト――つまり設計に当たって何を最優先にするかということですが、指揮官機としては攻撃力は必ずしも重要ではありません。戦闘において決め手となる打撃力は専門の兵士に任せることもできます。
むしろ、重要となるのは部隊の指揮能力――敵情をいち早く掴み、部下に指示して戦闘態勢を整える能力です。
3話で国連軍部隊と交戦した際も、8話で白鯨と交戦した際も、プラトス専用機が部隊の中で一番に敵の接近を捉えて指示を出していました。これは指揮官機としてもっともあるべき姿と言えます。
そしてそれ以上に重要なのは、生残率の高さではないでしょうか?
一般の兵士であれば、極端な話、例え戦死したとしても代えはいくらでもいます。
しかし、皇族はそうはいきません。
兵士の士気を上げるために皇族が自ら前線に出るというのは有効な手段ですが、それには生還を確かなものにする防御が不可欠です。そのため、過剰なまでの防御力を備えられていたことは想像に難くありません。
とは言え、プラトスがその専用機で白鯨と直接交戦したのは5話と8話の2回のみでしたし、他にも白鯨との戦闘に参加したことはありましたが、それはコンドル要塞やスフィンクス要塞といった比較的安全な場所にいての話です。
しかし、ムーバルと何度も交戦しながら確実に帰還できたのは、プラトス自身の戦闘能力の高さもあったでしょうが、機体の防御力の高さによるところが大きいと言えます。
同機がもっともダメージを受けたのは15話でのことですが、まず剣との一騎打ちでビーム1発を受け、その後は着実にビームを交わしていたものの、途中から加わった譲・麗のビーム2発が命中。更に信・学が加わって5機となったムーバルからビーム2連射、10発を撃ち込まれ、一度の戦闘で実に合計13発もの熱球ビームを受けたことになります。
これだけの攻撃を受けながら、プラトスは機体の各所から煙を噴出しただけで無事に帰還しています。他の機体ではこうはいかなかったでしょう。
本機はその設計要求に充分見合う性能を持った機体だったと言えそうです。

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