仮説30:アトランティス小型戦闘機について

1話からほとんどの回に登場した、アトランティス小型戦闘機。
アトランティス軍の先兵として、ムーバルに次々と撃墜されてやられキャラのイメージが強いですが、国連軍との戦闘においてはかすり傷一つ受けず圧倒的な力を見せつけました。
1話ではまだ月基地がなかったので、更に遠方から地球に到達し、しかも作戦行動を行なった上で地球の引力圏を脱出して帰還するだけの航続力を持っていたと想像されます。
さすがに、土星付近に出現したと思われるアトランティス大陸から発進したわけではなく、恐らくは、アトランティス大陸から発進した地球派遣軍、コンドル要塞から前衛として威力偵察の目的で発進したものでしょう。
そして、任務を終えた後は、コンドル要塞の月面到着に合わせて帰還する計画だったと思われます。
画面上では国連軍のジェット戦闘機として登場するF−14と同程度かやや小さく見えましたので、全長は15mといったところですが、このコンパクトな機体にほとんど無限と言っても差し支えないほどの航続力と地球の引力圏を単独で離脱できるほどの推力を兼ね備えた高性能機です。
ムーバルには不可能だった宇宙空間での活動が可能だった点も特筆すべきでしょう。
その一方、運動性ではムーバルには劣っていたようで、機体が一回り大きいこともあって、14話でムーバルにコンドル要塞内部に侵入された際は迎撃に使うことができませんでした。
まあ、これはムーバルの運動性をほめるべきでしょうが…。

主武装はコクピット両側面に配置された二門のビーム砲です。
このビーム砲、防御力の低い国連軍機には充分に効果的でしたが、防御力の高いムーバルには打撃力が不足していたようで、剣たちに致命傷を負わせることはついぞありませんでした。
もっとも、3万年前の世界ではムーバルを次々に撃墜していましたので、防御力は搭乗者の能力に比例すると考えるべきなのかも知れません。
さて、使用頻度は低いもののこのビーム砲座は上下旋回が可能で、1話前半の国連軍機部隊との戦闘では上方へ向けて2機を撃墜、国連軍部隊を一蹴した後は下方に向けて大都市を焼き払いました。
このビーム砲座を真下に向けるというアイデアは非常に秀逸で、そのまま戦略爆撃に応用が可能です。しかもビームは爆弾と違ってエネルギーの続く限り継続攻撃ができます。
将来、ビーム兵器が実用化されたとすれば、同様の機構が取り入れられるのではないでしょうか?
しかも、その桁外れの航続力を考え合わせると、その破壊効果は現代の戦略爆撃の比ではありません。
もっとも、作中では大都市のような不特定・広範囲を戦闘機群で攻撃するような局面があまりなかったため、この機能をあまり有効に活用していたとは言い難いです。
また、7話では同じ下方に向けたビーム砲からスフィンクス要塞の起動エネルギーを注入していました。
攻撃のためのビームと起動のためのビームが全く別物なのか、系統的には同種のビームなのか判断は難しいですが、後者だとするとビームの強度はかなり微調整が利くものと思われます。
もう一つ、小型戦闘機には機体側面にもビーム砲が取り付けられています。
ただ、これは実用的とは到底言い難く、2話で偶然平行飛行状態となった剣のムーバルを狙い撃ったのが唯一の使用例です。他にも国連軍部隊と乱戦になった際に使用していたように見えるカットがありましたが、こちらは今ひとつはっきりしません。
実際、側面ビームで目標を狙うのはかなり難しいと考えられ、はっきり言って設計者の設計思想を疑います。
同様の構造物はプラトス専用機や重戦闘機にも見られます。同じ側面ビームだったのか、それとも構造が似ているだけで別の機能を持っていたのかは分かりませんが、少なくともビーム砲として使われることはありませんでした。

もう一点、注目されるのは7話でスフィンクス要塞に起動エネルギーを注入する際に、ピラミッド上空でホバリングをやっている点です。
原理は不明ですが、空中静止、更には垂直離着陸が可能だったようです。
それも、外見上は現代のジェット戦闘機と大差ない形態をしているので、現代の垂直離着陸機とは全く違う機構を備えているものと考えられます。

なお、あまり目立たない点ですが、アトランティスが国連軍を圧倒した要素として、その防御力の高さが挙げられます。
彼らが国連軍機のミサイル攻撃を受けた姿が画面上で確認できるのは1話と3話の二度だけですが、見たところミサイルはアトランティス機の寸前で爆発しているように見えます。
それはまるで機体を少し拡大した形に覆う、薄い皮膜に阻まれたかのようです。
これをしてバリアを張っていたのだと考えがちですが、コンドル要塞などが張るバリアは一応目視できるのに対して、戦闘機の場合は一見何もないように見える点からして別物と考えるべきでしょう。
また、バリアはビームも防ぐことができますが、バリアを展開していない状態ではビームを防ぐことができないことを考えても、両者が似て非なるものだと分かります。
それは恐らく両者の機能の違いによるものでしょう。
バリアは敵の攻撃を防ぐ、言わば軍用の装備であるのに対して、普段から機体を覆う「保護膜」は特に軍用でなく、日常の危険から人間を護るためのごく当たり前の安全装置にすぎないのではないでしょうか?
このことは言葉を換えれば、通常ミサイルでの攻撃などアトランティスにとっては、一般家庭の強度基準で対処できるような小石がぶつかった程度のものでしかなかったのかも知れません。
ところで、小説版では国連軍がアトランティス戦闘機群に核ミサイルを使用するも全く効果なしという場面がありましたが、こちらはバリアを張っていたのか今ひとつはっきりしませんでした。
テレビ版では核兵器の使用という、いささか微妙な問題に配慮したためか描かれませんでしたが、バリアを張らなかった場合でも核兵器を防げたのか、見たかった気がします。

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