仮説24:作中の言語について

数あるSF作品で、誰もが一度は抱く素朴な疑問の一つは、様々な国籍、果ては異星人のキャラまでもが何の理由もなく普通に会話できてしまう点ではないでしょうか?
最近はその辺りの設定がしっかりした作品も増えてきましたが、登場人物が『自動翻訳装置』等を用いている、との暗黙の了解が視聴者の側にあるのが普通です。

さて、「ムーの白鯨」の場合、剣たちムー戦士がお互いに会話できるのは考えるまでもありません。何しろ同じ日本人(あるいは日系人?)同士ですから。
ラ・ムーとマドーラはムーの言葉を話すはずですが、二人ともサイボーグ化していることから、自動翻訳装置を内蔵しているとも考えられます。
プラトスやラ・メールが剣たちと話せたのも、同様の装置を身に着けていたのでしょう。
分からないのは、剣たちが一般の人々とも普通に会話していた点です。
具体的には下記のシーンが挙げられます。
・9話、剣とマドーラがアララト山麓の村で村人に聞き込みを行ったシーン。
・9話、譲と麗がトルコの市場で聞き込みを行ったシーン。
・10話、譲がポポロやペルーチームの監督と話したシーン。
・10話、剣がポポロと対決したシーン。
・16話、国連軍司令官から白鯨引渡し要求を受けたシーン。

上に挙げた以外にも、学は9話のトルコでは図書館を探して調べてみると言っていましたし、その他の回では国連軍情報を傍受していたようでした。
まあ、学は天才肌のキャラですし、12話ではアトランティスの末裔が残した古代文字を苦戦しつつも読み解いてしまったくらいですから、語学に関して非凡な才能を持っていたのでしょう。
また、譲がポポロやペルーチームの監督と話せたのもそう不思議なことではありません。譲はブラジルに居たんですからポルトガル語を話せるはずですし、それならスペイン語圏の人ともコミュニケーションは可能です。
しかし、剣がスペイン語を話せたとは到底思えません。
9話のトルコにしても、マドーラはともかく剣たちがそれほど語学に精通していたとは考え難いです。
他にも、10話や16話でラジオやテレビ放送を受信した際も、イースター島で日本語放送を受信するのは不可能ではないにしても、場所柄、スペイン語か英語放送と考えるのが自然です。
となると、剣たちも自動翻訳装置を使用していたことになります。しかし、一体どこに持っていたのでしょうか…?

例えば服に極細繊維状の装置を編み込んでおいて、それを身に着けるだけでどんな言葉でもたちどころに翻訳してしまう、というような装置なら考えられなくもありません。
更に想像するなら、同様の装置で着用者を保護する簡単なシールドを発生できる、というような応用も考えられます。
強力なビーム兵器までは防げないとしても、銃弾などの危険物は遮断し、本人が触れたいと思う物は選択透過させるような皮膜を体表面数mmのところに形成する…それなら、あの薄着で南極へ行けたのも納得できます。
同様の装置はムーバルやアトランティスの兵器類にも応用されていたかも知れません。

ところで話は少々横道に逸れますが、色々な人が自在に語り合えるという話で思い浮かべてしまうのが、旧約聖書の『バベルの塔』伝説です。
天に届く塔を建てようと目論んだ人間の不遜さを戒めるため、神は人々の言葉をお互いに通じなくさせてしまい、塔は完成しなかった―というのがこの伝説の大筋です。
もしかするとこの話は、ムー・アトランティスが用いていた自動翻訳装置の技術が失われた際の歴史が伝説となって伝わったものでは…というのは飛躍しすぎでしょうか?

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