仮説15:スフィンクスについて

「ムーの白鯨」7話の舞台となったエジプト・ギザ台地。
クフ王・カフラー王・メンカウラー王の三大ピラミッドで有名な場所ですが、作中ではピラミッド群はほとんどスフィンクス要塞の起動装置としての役割しか果たさずいささか拍子抜けという感じでした。まあ、他にも剣のムーバルをビームで捕らえはしましたが。
さて、一般的に「スフィンクス」と言えば、エジプトのギザ台地・三大ピラミッドの傍に鎮座する大スフィンクス像の事を指しますが、ムー白に登場したスフィンクスはこれとは違うようです。
その根拠としては二点挙げられます。
ひとつはその大きさ。ガイドブックによりますと、大スフィンクスの大きさは全長57m、高さ20mとあります。
これに対し、ムー白に登場したスフィンクス要塞は対峙した白鯨と大差ない大きさに見えましたので、全長200m前後といったところでしょう。
また、国連軍部隊を壊滅させた後、三大ピラミッドの傍に鎮座した時の高さはピラミッドより高く見えました。仮に地形などの影響があったとしても、その高さは少なくとも100m以上はありそうです。
もうひとつは、胴体に対する頭部の比率です。
あまり一般には知られていないかも知れませんが、獣身人頭の大スフィンクスはライオンの体を模したにしてはその頭部が不自然に小さいのです。
その理由はここではとりあえず問わないことにしますが、ムー白に登場したスフィンクス要塞の人頭部分がライオン胴体に見合う比率になっているのは確かです。
以上の点から推察すると、スフィンクス要塞は大スフィンクスとは別に、アトランティスによって地底深く隠されていたものと考えられます。

さて、要塞内部はプラトスが思わず、
「3万年を経ているとは思えんな…」
と呟くほど、動作に問題ない状態でした。それも、3万年もの間放置されることなど想定していなかったはずなのに、です。
これはアトランティスの技術レベルの高さを示す事例ではありますが、しかし、物体の劣化を防ぐ技術があることと、実際に保存できるかどうかはまた別の話です。
この後、12話では3万年前のアトランティス大陸消滅時に取り残された人々がいた可能性が示されましたが、アトランティスとムーの滅亡後、生き残った人々の間で戦乱が起きたであろうことは想像に難くありません。
だとすれば、その際になぜスフィンクス要塞が使用されなかったのか、という疑問が残ります。
…いや、当時使用可能なまま残っていたほとんどの兵器は使用され、そして失われてしまったのでしょう。
しかし、スフィンクス要塞の場合は当時完成したばかりで起動を待つのみというところで破局が起きた、という可能性が考えられます。
そして何らかの理由で―例えば、現場の部隊には起動方法が伝えられていなかった等―使用したくてもできなかった、と考えれば説明がつきます。
そして3万年の時を越えて戻って来たアトランティス本国部隊が起動することでようやく真価を発揮することができた、ということです。このことは、10話のナスカにも言えるでしょう。

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