仮説14:オリハルコンパワービームについて

「ムーの白鯨」唯一の大量破壊兵器・オリハルコンパワービーム。今回はこれについて考察してみましょう。

16話でアトランティス帝国科学長官・ハイドのプロジェクトチームの下、開発されたオリハルコンパワービーム。
当時、アトランティス帝国は火星付近にありましたが、実射実験のサンプル目標にされた国連軍基地は迎撃の時間すらなく灰燼と化しました。
17話の会話では、このビームは巨大な鏡の様な「月面ポイント」、地球の衛星軌道上に置かれたミラーボールの様な「最終チェックポイント」を経由して約3分で地上の目標に到達するようです。
この「最終チェックポイント」からイースター島へは30秒かかっていますが、16話では名称が「地球ターゲットポイント」となっていて、目標地点までは10秒で達しています。
名称の事は置いておくとして、到達時間については衛星の位置と地上の位置が一定ではないと思われますのでそう不自然なことでもありません。
しかし問題は、火星付近から地球までわずか3分で到達している点です。
火星―地球間は最も近い時でも5,600万kmほどあります。これは光でさえ3分余りかかる距離です。
それなら、距離はほぼぴったりだと思われるかも知れませんが、そんな都合の良い位置にいる可能性は極めて低いです。火星―地球―太陽の位置関係によってはこの8倍以上になってしまうこともあります。
百歩譲ってそれを問わないとしても、「最終チェックポイント」から地上の目標まで数十秒というのは、逆にかかり過ぎです(ちなみに、月から地球まで光ではわずか1.3秒にすぎません)。

まず、火星―地球間がわずか3分だった点ですが、ここだけを見るとビームのスピードは光速を超えていることになります。となると、このビームの正体はタキオンということになります。
タキオン―SF作品に登場することがあるので名前くらいは耳にしたことがあるかと思いますが、無論そういう物質があるわけではなく、相対性理論の中で光速を越える性質を持つ粒子として仮定された存在です。
理論上、タキオンは虚数の質量を持つとされています。虚数というのは「自乗するとマイナスになる数値」のことですが、そういう物質が実在したとして、通常の物質と何らかの反応をするというのは考え難いです。
となると、「月面ポイント」か「最終チェックポイント」でタキオンから通常物質への変換が行なわれていることが考えられます。であれば、衛星軌道から地上まで数十秒もかかることも説明がつきます。
ちなみに、この際にプラトスは全くタイムラグなくビームの発射を知りますが、アトランティスの通信はタキオン以上の伝達速度を持っていることになります。あるいは、タキオンにも種類があるのか…?
また、17話で白鯨に弾き返されたオリハルコンパワービームが「月面ポイント」と「最終チェックポイント」を破壊して消滅したのも、ビームの性質が変わっていたとすれば納得できます。単にビームを反射・屈折させるだけのものであれば、逆方向でも同様に作用してアトランティス本星まで弾き返されたはずです。
もっとも、これは白鯨が弾き返した段階でビームの性質が変わっていないという前提がありますが…。

しかし、19話の事実はこの仮説を更に補強しています。
ザルゴンのぶち上げた「地球移住大改造計画」に基づきアジア大陸を削り取るのに使用されたビームに、国連軍は敵わないまでも迎撃ミサイルを打ち込む事ができました。
ということは、ビームの速度は迎撃可能な、弾道ミサイル並の速度だった、ということです。
この時、アトランティスは「月面ポイント」と「最終チェックポイント」を介さずに発射しました。
「最終チェックポイント」は着弾までの時間に最大数倍以上の時間差があることからかなり低軌道の衛星であると考えられ、全地球を射程に収めるために複数個の衛星を配置していると考えられますし、「月面ポイント」も同様の理由で複数箇所に設置されていると考えられますが、この時は17話でその一部が破壊されたために理想的な射線で放てなかったものと考えられます。
そのために16話と違って射線が単純であったのに加えてビーム弾の速度が遅く迎撃するだけの時間的余裕があったのでしょう。

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