仮説10:ムー側メカの推進原理について

ムー白に登場するムー側メカで特徴的なのは、白鯨にしろムーバルにしろ推進装置と思しきものが全く見られないことです。これらのメカは、一体どのような原理で飛行しているのでしょうか?
ムーバルは飛行中に翼を展開するのでその表面に推進装置が組み込まれているのかとも思いましたが、翼は必ずしも飛行に不可欠のものというわけではなく、高速飛行中の機体を安定させるためのものではないかと考えられます。
潜航中は翼を畳んだまま行動しますし、8話では山中の抜け穴を通る際に翼を畳んだまま飛行(と言うより、移動?)していましたし…。
まあ、ムーバルの翼は畳めばそのまま機体側面を形成するので、畳んだ状態でも機能を発揮するとも考えられますが…しかし、ムーバルの推進機関は機体全体に何らかの仕組みがあると考えた方が自然です。
また、白鯨については内臓の自重を空中で支える必要から反重力を使っていると思われます。ムーバルにも当然、同じ技術が使われているものと推測されます。

反重力を使っているとして、不思議なのは操縦者自身は地球の重力を感じているらしい点です。
ムーバルの場合は分かり難いですが、白鯨の場合は地球ゴマ構造のカプセル内から操縦するわけで、この常に水平を保つ床面の基準は地表のはずです。
これらを総合して考えると、白鯨やムーバルを中心とする狭い範囲には反重力空間を形成しながら、その操縦席については地表方向に向けて1Gの重力を発生させるという重力の二重構造を形成しているということが言えます。
そうすると、明らかに空気抵抗が大き過ぎるムーバルの形状でアトランティス側の戦闘機群と互角に戦えるだけの速度を出せる理由についても、機体の周囲を包む反重力空間が何かシールドのような役割を果たし、空気抵抗を無くしていると考えれば説明できそうです。

ただ、ひとつ疑問なのは19話で白鯨が最終形態に変身するまでムー側のメカが宇宙に出られなかった点です。
宇宙に出られなかった理由としては、理論的にいくつか考えられます。
まず第一に考えられるのは速度不足、つまり地球の重力を振り切って宇宙へ飛び出すだけの速度が出せないという可能性です。
しかし、これはどうやらなさそうです。なぜなら地上と宇宙を自由に行き来できるアトランティス戦闘機と互角に戦っている以上、速度にそれほどの差はないと考えられるからです。
次に考えられるのは推進機関が真空中では作用しない性質のものである可能性です。
例えば、宇宙空間でプロペラをいくら回しても前に進むことはできません。もしも機体の周囲に空気や水があることが必要な推進装置を持っているのであれば、当然宇宙空間では行動できないことになります。
しかし、反重力を使っているのであれば空気や水の有無は関係がありません。
この点を考える際に注目されるのは、19話で剣がムーバルでアトランティスに乗り込もうと飛び出した時の譲と剣のやり取りです。

譲「ムーバルで大気圏を突破できると思ってるのか!?」
剣「どうなっても構やしねえ!」

この台詞を見ると、単に性能の問題で宇宙に到達できないのではなく、宇宙に飛び出すことが操縦者の命に関わるようです。
そこで最後に考えられるのが生命維持装置の問題です。
ムーバルは少なくとも水深500mまでは潜航できるようですので、気密性は充分と考えられます。
が、X線やガンマ線、紫外線などの有害な宇宙線に対してはどうでしょうか? これは確かめようもないことですが、色々な状況を考えると、この生命維持の問題が一番可能性がありそうです。
そして19話で最終形態に変身した白鯨はこの宇宙空間での生命維持の問題をクリアしたということでしょう。

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