仮説07:ムー大陸について

古代ギリシャより語り継がれ、「アトランティス学」なる言葉まであるアトランティスに対し、ムーは20世紀に入ってからチャーチワードの著した一連の著作に始まる、極めて歴史の浅い伝説です。
しかし歴史が浅いなりに、多くの人々によって研究されています。
また、チャーチワード以前にも言語学・民族学者のジョン・マクミラン・ブラウン教授は多くの島々が繋がった群島陸橋に栄えた「群島帝国」を提唱しています。
実際、チャーチワードの著作がなくとも「陸地が海に沈んだ」類の伝説なら事欠きませんし、それを裏付けるように太平洋全域に巨石文明や共通の文化が広がっているのも事実です。
しかし残念なことに、ムーにしろアトランティスにしろ現在のプレート・テクトニクス理論に基づいて大洋の中央部に沈没大陸の存在は否定されてしまっています。
その一方、最近では琉球大学理学部の木村政昭教授が地殻変動と海面上昇に着目して提唱した「琉球古陸=ムー」説が、南西諸島一帯で発見が相次ぐ海底遺跡と相まって注目されています。

さて、ムー白世界ではアトランティスは大陸ごと異次元に消えたという設定になっており、これならプレート・テクトニクス理論に矛盾しません。勿論、ジグソーパズルのように組み合わさっていたはずのかつての超古代大陸塊のどこにアトランティスがはまっていたのか、という問題は残りますが…。
一方、ムーはアトランティスの消滅と時を同じくして海没したように描写されています。これはプレート・テクトニクス理論に真っ向から反することになります。

しかしそもそも、ムー白世界におけるムーはアトランティスのように具体的なデータは一度も出てきません。
唯一はっきりしているのは太平洋に位置していたこと、そしてイースター島の辺りが含まれていたらしいことぐらいです。
回想シーンでムーが登場する場面でも、画面を見る限りそれが実際に大陸と呼べるような大きさだったのか、それとも呼び名だけで少し大きめの島に過ぎなかったのか、判断できません。
そして注意すべきなのは、地質学は大陸の海没を否定しても島の海没までは否定していないということです。
また、白鯨をシンボルとしたことからムーが海洋に根ざした国家だったことは想像に難くなく、それが上述のブラウン教授の提唱する群島国家、いくつかの大きな島から構成される列島だったとしても物語に矛盾しないと考えられます。

さて、アトランティスが消滅した際に起こる状況を考えると、まず大陸の抜けた空間に膨大な量の海水が雪崩れ込むことになります。
そうすると巨大な津波が全世界を襲うことになり、小さな島程度なら簡単に押し流されてしまうでしょう。もっとも、最終的に海水面は逆に下がることになりますが…。
また、作中に出てきたムーの最期では津波だけでなく火山噴火や大地の陥没も同時に起きていました。
まあ、大陸ひとつが消滅するとなると、地球全体で見ても無視できない質量が失われることになるわけですから、大地殻変動が引き起こされたとしても不思議ではありません。
ムー白世界におけるムーの最期はこういったものだったと考えられます。

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