仮説05:ラ・グリルについて

宇宙を創造した神がオリハルコンと共に地球に投げ込んだとされる光、ラ・グリル。それはいかなるものなのでしょうか?

物質文明のアトランティスに対する精神文明のムー、その力の源であるラ・グリル。
「愛の力」とも言われるラ・グリルは精神エネルギーであり、直接外部に物理的なエネルギーを発揮するというものではないように思われます。
人が物事を信じ、前に進んで行く原動力とでも言いましょうか。
25話でマドーラが、
「白鯨のエネルギーもムーバルのエネルギーも、全てラ・グリルの力」
「人を愛し、自然を愛する皆の心がエネルギーとなる」
と説明してはいますが、これはラ・グリルの力を物理的な力に変換する機構を備えていると理解することができるでしょう。

とは言え、3万年前にラ・ムーがアトランティスを大陸ごと異次元に飛ばした力もラ・グリルですから、物理的な効果を直接発揮することも不可能ではないと思われます。
しかし、壮年のラ・ムーが急激に老化したことから見ても、それには肉体に多大な反作用を覚悟しなければならないようです。

9話でラ・ムーが語る伝説を見る限り、オリハルコンと同様ラ・グリルもその光に接すると同時に原始的な猿を人類へと進化させました。
両者の最大の違いは、光輝く金属球として表現されるオリハルコンに対して、ラ・グリルは明確な形状を持っていない、ということでしょう。どうも、ラ・グリルは地上に落ちて光を放った後、忽然と消えてしまったように見えます。
思うに、地上に達すると同時に放たれたラ・グリルは人類の遺伝子に組み込まれたのではないでしょうか。
人の傍にあってその力を発揮したオリハルコンに対して、ラ・グリルは人々の中に存在して影響を及ぼしたということだと思われます。

もう一つ、注意すべきなのはその影響がどの程度の範囲にまで及んだのかということです。
当然、爆心地(?)に近い方がその影響は大きかったと想像されますが、影響範囲はほとんど全地球に及んだのではないでしょうか。
だからこそ、ムーもオリハルコンの影響を多少なりとも受けたために物質文明的な要素が皆無というわけではないし、またアトランティス人であるプラトスにも愛が生まれたとも言えるでしょう。
もっとも、プラトスの場合は傍にいたラ・メールの持つラ・グリルの影響を受けたという解釈も可能ですが…。
いずれにしても、人類はオリハルコンとラ・グリル、二つの力のせめぎ合いの中で歴史を刻んできたということでしょう。

物を生み出すと同時に限りない欲望をも生み出す力を持つオリハルコンに対して、愛を生み育てる力を持ったラ・グリル。
オリハルコンと共に「ムーの白鯨」のメインテーマとも言える存在です。

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