仮説04:オリハルコンについて

アトランティス帝国の力の源、オリハルコン。それはいかなるものなのでしょうか?

2話でラ・ムーが語ったところによると、オリハルコンは惑星一つを移動させ得る恐るべきエネルギー源、ということになっています。
14話でオリハルコンを取り戻すまででもアトランティスはコンドル要塞を筆頭とする大部隊を動かしてはいましたが、これは備蓄エネルギーを使っていたものと思われます。
大部隊を動かすだけでなく、大陸全体の生命維持まで行っていることも考えれば相当量のエネルギーを備蓄しているものと想像できます。
しかし、それでは大陸そのものを移動させる反重力エンジンを作動させることができなかったことから考えても、オリハルコンの放つエネルギーの凄まじさが分かります。
また、科学を高度に発達させる力を持つとも言い、9話ではオリハルコンがあるところ必ず文明が発達するとも言っています。
が、現代の文明を支えているのは石油と原子力であり、現在繁栄している大都市にはオリハルコンはないということから、アトランティスの文明が現代文明とはかけ離れたものであることが分かります。

注意すべきなのは、アトランティスが探索機を地中深くに打ち込むことでその探索を行っている点です。
これはオリハルコンが地中深くに埋もれているとの前提があってのことでしょうが、実際にそんな膨大なエネルギーを放っているなら遠く離れた所からでも見つかるはずです。それ以前に地球の科学力で発見されているはずですし。
これはオリハルコンが通常の状態だと熱や電磁波などを放っていないことを意味します。
ところが、13話でその力を発動したオリハルコンは南極大陸に大地殻変動を引き起こし、地上にその姿を現すと鮮やかなブルーの光を放ちました。
この時点では少なくとも、何らかの電磁波を放っているものと思われます。この落差は一体何なのでしょうか?

ここで注目すべきなのはやはり9話で、ラ・ムーが語るオリハルコンの伝説です。
宇宙を創造した神が地球に投げ入れた二つの未知の光の一つ、オリハルコン。原始的な猿の群れはその光を浴びると突如立ち上がり、人類へと進化してゆきました。
(確か、某有名SFに似たようなシーンがあった気がしますが…私は観ていないのでここではあえて触れません)
神話的なニュアンスのお話ですので額面通り受け取るわけにはいきませんが、ここからオリハルコンの本質が見えてくるような気がします。
オリハルコンの本質…それは自身がエネルギーを放つものではなく、何らかの作用に対してその反作用として効果を現すものではないでしょうか?
例えば、普段は何のエネルギーも持っていないが、ひとたび何かの刺激を受けると膨大なエネルギーを放ち始める…アトランティスが使用した探索機は例えて言えばそのスイッチを入れることを目的にしたものだったのではないかと考えられます。

実際、ラ・ムーも『宇宙を支配する神のエネルギーを吸い寄せ、生き続けている』、と言っています。
惑星一つを移動させ得るエネルギーというのもそれ自身が放つのではなく、何らかの方法で宇宙エネルギーを集める媒体的な存在なのかも知れません。
その宇宙エネルギーを取り出すことで発達したのがアトランティスである、と言えるでしょう。
伝説に語られたオリハルコンと人類の関係も、元々素養を持った生物に反応したオリハルコンが何らかの波動を放つことで人類への進化を促したとも考えられます。
そしてそれを傍に置くことによって、オリハルコンはその力を発揮し続け、アトランティス人はその創造力を開花させて加速度的に科学を発達させることができたのでしょう。
それと同時に、人間に限りない欲望をも備え付けたというオリハルコン。「ムーの白鯨」という作品の基本テーマとも言うべき存在です。

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